2022.07.31お知らせ

JAL解雇争議が解決 会社と2労組が協定に調印

2010年末に起きた日本航空(JAL)によるパイロットと客室乗務員165人の解雇事件について、会社と日本航空乗員組合(JFU)、日航キャビンクルーユニオン(CCU)は29日、被解雇者への業務委託での職務機会の提供などを内容とする「整理解雇問題解決に関する協定・合意書」に調印しました。

労使正常化に努力

 10年に経営破綻した日航では、政府出資ファンドの企業再生支援機構が管財人となり人員削減計画を超過達成したにもかかわらず、165人を解雇。全労連や全労協、日本マスコミ文化情報労組会議などが国民支援共闘会議を結成して支援して粘り強くたたかい、今後の展望にもつながる合意を得たものです。

 協定案は会社から6月に示され、乗員組合は今月22日、CCUは13日に組合大会を開き、締結することを確認しました。会社が労使の信頼関係の正常化に努力するとし、健全な労使関係が安全運航の基盤だと確認。二度と整理解雇の必要性が生じないよう経営の安定化に努めることが明記されています。

 現在までに乗員組合5人、CCU3人の被解雇者が日航の地上職で職場復帰を実現。今回の協定で、希望者全員に業務委託で2年契約、月額12万5000円の職務機会を提供するとしています。調印にあたり赤坂祐二社長から被解雇者へ名誉回復をはかるメッセージが出されました。

 CCUは声明で、「要求とは乖離(かいり)はある」としつつ被解雇者組合員の「職務提供を受けてみんなで前に進みたい」との思いを優先したと表明。乗員組合は「直接的な金銭解決ではないものの、再雇用施策に応募できない方も一定の報酬を得られる」と指摘。「組合として整理解雇を容認したということではない。これからも、組合員の雇用を最重要課題として取り組む」としています。両組合とも、支援共闘をはじめ多大な支援に感謝を表明しています。

 整理解雇撤回裁判は15年2月、解雇を容認した東京高裁判決が最高裁で確定。しかし、解雇の過程で起こった支援機構幹部による労働組合のストライキ権投票妨害が16年9月、最高裁で不当労働行為だと認定。国際労働機関(ILO)からも解決を求める4度の勧告が出されていました。

(しんぶん赤旗 2022年7月30日1面記事転載させていただきました)

2010年12月24日日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議「結成総会」の様子