Q:
出先の事業場で契約社員として働いていましたが、ある日、これからは〝一人親方〟として契約してもらうといわれ働いています。労働時間は自由だからと言われましたが、毎日、日報に仕事始め時間と終わり時間を書いて出しています。仕事のやり方も給与も同じです。上司から、のろまや愚図と怒鳴られています。体調もすぐれずパワハラの相談をしましたが、自営業者は労働者ではないと言われてしまいました。
A:
相談者の労働実態は労働者の働き方でありながら、請負契約を結んで自営業者に偽装する『偽装請負』という働かせ方です。偽装請負は契約書面の内容が請負であるため、労働者という扱いにならず、労働基準法が適用されません。そのため何時間働こうと残業代を支払う必要がなく、労災保険や社会保険などに加入させる必要もありません。偽装請負は違法行為です。相談者の企業は、全国的に偽装請負を展開した経緯があり、対応について相談しました。
問題は、労働者か自営業者かの判断です。労働者として判断する基準は、使用者との間に『使用従属関係』にあるか否かです。①使用者の指示を受けて仕事をしているか②労働時間が管理されているか③働きに応じて賃金が払われているかなどで判断します。他にも、税金の天引きや雇用保険などへの加入の有無などいくつかの判断要素があります。
契約書は重要なものですが、労働者か否かの判断は〝労働の実態〟で判断します。現場では、偽装請負と言われないように、巧妙に形づくりが行われているようです。「請負契約」を結ばされた人は、働かされ方を再チェックしてみましょう。【中林】
2019.02.12偽装請負