仕事が原因でケガをしたことが明らかなのに労災保険の手続きを行わない事業主は、「労災隠し」として罰せられます。労災をめぐる相談が2件ありました。
1件目は、重いものを持ち運んだときに背中がギクリとなり、激しい痛みで仕事が出来なくなった案件です。動けない状況が続き、5日後に総合病院を受診。その後友人の紹介で整骨院を受診しました。整骨院から労災にしますかと聞かれたので、会社に労災のことを話すと担当から「労災にはしない」と言われたので、どうすればよいかという相談です。手続きの仕方を説明し、友人に相談できる人がいるというので、相談しながら手続きをおこなうように指示しました。
2件目は、深夜配送中にトラックの荷台から転落し、骨折したという事故です。ギブスをはめ松葉杖をついて会社に行き、会社に働けない状態と伝えると、迷惑顔をされ、出勤扱いにするからということで、週に1日電話番に出てくるように指示されました。ケガはリハビリ治療をおこなうことになりました。骨折の他に靭帯や腱も痛めているので現在も続けています。とても耐えられず退職しました。収入がなく生活が苦しく、なにか補償は受けられないものかという相談です。状況を詳しく聞き、まず労災の休業補償の請求手続きを監督署でするよう指示しました。現在も相談が継続しています。
法違反の〝労災隠し〟が当たり前となっていることに驚きました。それも、なかば公然とおこなわれていることに労働現場の異常さを実感しました。労災請求を行うことで監督者が調査を行うことになります。事実関係が明らかになるか注目されます。【中林】
2019.02.08労災